この記事は #LOVEFONT Advent Calendar 2014 の24日目です。
昨日は @tihata さんの キルラキルのロゴでも使われた圧倒的存在感のすごいやつ「ラグランパンチ」 でした。
こんにちは。クリスマスイヴにエントリーをどうしてもねじ込みたかったlindwurmです。
そう、本日12/24は クリスマスイヴ Koruriの誕生日です。
Koruriとは
Koruri (コルリ、小瑠璃)は coz 氏による非常に自由なライセンスで知られる M+ OUTLINE FONTS の派生フォントで、ラテン文字とその他対応している部分が Steve Matteson 氏によってデザインされたモダンな sans-serif タイプフェイスである Open Sans に置換されています。
あなたの環境でこのブログ記事が読み込みを正常に完了しているならば、おそらくあなたが見ているこの文字は Koruri によるものであるはずです。
具体的には M+ 1p の Regular, Bold, Light, Medium, Black と Open Sans の Regular, Bold, Light, Semibold, Extrabold がそれぞれ対応しており、ウエイトの名前は Open Sans 側に従っています(一部環境では Regular と Medium を同一視することがあるため)。
表にするとこう。
M+ 1p | Open Sans |
---|---|
Regular | Regular |
Bold | Bold |
Light | Light |
Medium | Semibold |
Black | Extrabold |
Koruriの入手
Koruriは公式には OSDN および GitHub で公開されています。 koruri.github.io からダウンロードしましょう。
OSDN ではアーカイブ形式での配布を行っています。形式が tar.xz と馴染みの薄いものですが、圧縮率の高さを優先した結果です。
GitHubでは、アーカイブの中身と同じものがそのままリポジトリに入っています。直接 git clone
しても、Releases一覧 (https://github.com/Koruri/Koruri/releases) からダウンロードしても問題ありません。
後述しますが、パッケージ管理システム経由での導入も可能です。
誕生の経緯
元を辿るとたぶん2012年の秋か冬くらいまで遡ることになります。わたしはライトニングトーク用のスライドを作っていたのですが、「日本語フォントは M+ 1p が使いたいけど、英字はもっとクールに Open Sans でキメたい…!」と思っていた記憶が有ります。幸いにも LibreOffice では 西洋諸言語用フォントと アジア諸言語用フォント とそれぞれ別のフォントを指定できたので、この時はそれで解決していました。
その後、2013年に初めてのAndroid端末(ASUS MeMO Pad HD7)を手に入れたのですが、Android Open Source Project (AOSP)に日本語フォントとして提供されていた モトヤLマルベリ3等幅(MTLmr3m.ttf
)が英字で使われていたRobotoと雰囲気が合っていない気がしてならず、イライラしたので M+ 1p に差し替えたものの、今度はM+のラテン文字の丸さが微妙に気に入らず、FontForge を使ってフォントを合成する手段に出ました。
サブセット化して自サイトなどで使っているうちに、「意外と需要はあるのでは…?」という どこから湧いてきたんだかよくわからない 気の迷いを起こしてクリスマスイヴに SourceForge.JP のアカウントを作成して勢いで「えいっ」と公開してしまったのが運の尽きでした。
公開から1年経った現状
生成スクリプトが用意されました
最初のうちはM+からOpen Sansに含まれるグリフを削除して…と手作業で 温かみのある 作られ方をしていましたが、毎回どこか間違えてしまったりしていました。5月にmandel59氏によって生成スクリプトが書かれ、現在はこれをベースに生成を行っています。
各種パッケージ管理システムで利用可能になりました
Koruri は以下に挙げるパッケージ管理システムで利用可能ですが、全て作者によるものではない、公認非公式の形をとっているものです。更新の追従が遅れたりすることがあります。
OS | パッケージ管理システム | パッケージ名 | メンテナ |
---|---|---|---|
Arch Linux | Arch User Repository (AUR) | ttf-koruri | orumin |
FreeBSD | ports | font-koruri | meta |
NetBSD | pkgsrc | koruri-ttf | nonakap |
Ubuntu | Personal Package Archive (PPA) | fonts-koruri | cosmo0920 |
Windows | Chocolatey | koruri | mohemohe |
OS X | Homebrew (homebrew-cask) | font-koruri | caskroom |
このほか、Gentoo LinuxはGitHub上でebuildを公開している方を複数確認しています。
窓の杜に掲載されました
リリースから1ヶ月と少し経った1月30日、何の前触れもなく掲載されました。これをきっかけに知っていただいたケースが多い模様。
ロゴ公募が実施されました
Webフォントとしての利用が容易になりました
woffやeotのバンドルは途中で辞めましたが、Webフォント用に軽量化した WebKoruri やブラウザ上でKoruriをサブセット化できる Koruri Webfont Subsetter が用意されています。
そしてこれから
Ohruri
夏頃からちょこちょこと模索している次のフォントです。Twitterにて散見される特殊な顔文字に対応しつつKoruriの雰囲気を残した実用的なものを目指しています。
テスト版を使用したCyanogenMod向けフォントパックも公開されています。
さいごに
前日の晩から慌てて書き始めたら思っていたよりも長くなってしまいすごくアレですが、だいたいこんな感じです。質問や、もうちょっとこの辺を書いてほしかった等あればTwitterあたりで@lindwurmをぺしぺしすると何かしら追記などの形をとるかもしれません。
わたし以外の参加者の皆さんは素晴らしい記事を書いてくださっているので、たまたまこの記事に行き着いたという方はぜひ #LOVEFONT Advent Calendar 2014 の他の記事もご覧ください。時間が許せば過去年の分も見てみることをおすすめします!
最終日となる明日 12/25 は、 ChibaReimi@rechiba3 さんの担当です!